私は今まで書いた作品は全て三人称でやってきました。
それでも色々工夫して、一人称的三人称で書いてきたんですがね。
視点を固定するとか、彼・彼女という表現を主人公には使わないとか。
そんでもって最近、一人称でも書いてみるか? とか考えているわけですよ。
ところが、感想とかを見ると「一人称って軽い」「いかにもラノベっぽい」とかいう評価をしている人たちがちらほらいる。
いやいや、書く側からしたら一人称ってムズいよ?
でも、そう評価される理由もわかるんです。
一人称って、初執筆な人にはとっつきやすいそうですから。
何故ならブログ感覚で書けるから。
ですがここで一言断っておくと、実は一人称をよく使われているのは純文学です。
あちらでは賞に応募するほとんどが一人称らしいですよ。
一人称は取っ付きやすくもあり、ある程度文章を書き慣れた人からすると難しい人称でもあります。
これも何故なら、ブログっぽくなってしまうから。
一人称は自分語りになりやすいんですよね。
だから自己陶酔型の作品が多発して、純文学での賞の下読みさんは悲鳴を上げているそうです。
けれど、一人称はブログっぽい自分語りをするための人称ではないんです。
これは、語り手の視点で表現を固定するための人称です。
そんで推理モノってたいてい一人称。
例えれば、古めかしいお城を語り手が見たとする。
語り手が建築に詳しい人だったら「これは〇〇様式で何世紀頃のものだから~」とか延々と語り出す。
そして建築に疎い語り手だったら「ヨーロッパのお城っぽいね」で終わる。
前者だったら読者は「ハイハイ、建築知識をひけらしたいのね」と思うだろうし、後者だったら「馬鹿っぽいコメントだなぁ」と思う。
良くも悪くも、語り手の性格で作品の色が決まってしまうのが、一人称なんですよ。
ね、難しいでしょう?
でも、今度の作品ではこの一人称にチャレンジしてみたいなぁ、とか考えています。