黒辺です、生きてました。
ようやっと書下ろし作業の終わりが見えてきたので、気分転換にこちらに顔を出してます。
某出版社の社長がツイッターで、気に入らない作家さんの実売部数を暴露したとかで問題になってますね。
こんなデリケートな数字を世界中にさらすなんて、出版社の社長をしているという自覚が足りないと思う次第です。
公表前提の数字だったならともかく、個人攻撃のような晒し方はねぇ……。
そして世の人々は、案外実売部数の実態を知らないということに、「さもありなん」と思います。
私だって本を出させてもらうまで、知らなかったからね。発行部数イコール売れた数だと思ってたし。
前の記事で返本について語った際に、実売についてもちょっと触れた気がしますが。
一応説明すると、発行部数とは出版社が刷った数。
そして発売されたものの売れ残って返本されて、その返本数を引いたのが実売部数です。
そして私がお世話になっているアルファポリスさんは、この辺りのデータを本人に全て公開する会社です。
アルファが主な出版先である自分としては、この実売部数の方が慣れ親しんでいたりします。
むしろ下手に発行部数をたくさん刷られても、返本でマイナスになるのでヒヤヒヤしますね。
増刷? そんなものはごくごく一部の幸運な作家さんが受ける恩恵ですよ。
そしてこのあたりの部数調整を、アルファ側もギリギリの線を攻めているんだろうなぁ、と毎度思ったり。
なにせ自分は最近ずっと書下ろしなんで、連載のPVでおおよその把握、というものができないんですよ。
アルファさん、苦労を掛けています!
そして発行部数をたくさん刷った方が実売も上がる、なんてことはありませんから。
たくさん刷ったら売り場にたくさん置いてもらえて、その分読者の目につくなんて意見が見受けられますが。
本屋の置き場所は、たくさん刷られた順じゃありません。
出版社の力関係順です!(ああ、身もふたもない……)
だから刷った冊数はあまり影響はなくて、発行部数が減っても作品が面白ければ、実売はちゃんと上がります。(経験アリです、エッヘン!)
確かに、発行部数をババンと貰えるのは楽だなぁと感じますけど。
個人事業主として成長できるのは、実売部数把握の方かな、と言う気がします。
というか、売れ行きを当の本人が知らないというのはどうなのかと。
そして商売人としては、損を生まない努力をするのは当然のことで。
むしろ作家業は、今までこのあたりの努力を出版社任せにし過ぎたのでは、と考える次第です。
でも、発行部数だけしか公開しない会社に、自分から「で、正直どのくらい売れました?」と聞く勇気もないのが事実で。
だから最初からすべてを公開するアルファのシステムは、作家の成長を促す点においては最適かもしれませんね。