日々是平穏

こちらは黒辺あゆみが創作について語るブログです

明日は終戦記念日ですね。

毎年、この時期になると戦争ネタの番組がやたらと出てくることに、子供の時分の私は疑問に思っていたものです。

考えてみると、私は九州だったから長崎の原爆の日に合わせての平和教育があったので、原爆投下の事実は知っていますけど。

あ、よその県だと、夏休み中に登校して平和教育なんて、ない学校もあるらしいですね?

でもそんな私も、学校でしっかりと「この日が戦争が終わった日なんだよ」って教育された覚えがないんです。

これ、案外誰でも共通ではないかと思ったりします。

そして周囲の大人も、「そのくらい雰囲気で察しろよ」的な態度で、ちゃんと口にしなかったし。

 これはおそらく、戦争についてを言葉にするのがよろしくないという、暗黙のタブーがあったんだろうな、と今になったら思います。

だって、他所の国だと名目は違えど、戦争が終わった日ってなにがしかの記念日になっているのに。

まあ、お盆に重なっているから気付かれにくい、というのもあるでしょうが。

 

一昔前だと、終戦記念日と言えば戦争ドラマでした。

「厳しく辛い戦争の中でも、家族の絆があった」的な内容が、色んな角度から放送されていましたね。

これはこれで感動したし泣けたし、良かったんでしょうが。

でも今年はテレビ欄とかを見れば丸わかりのように、民放もNHKも「戦争とは?」という内容のドキュメンタリー番組が主流です。

こちらも見ごたえがあって、すごく入り込むんですけどね。

なんで急に方針転換されたんだろう? と考えちゃいまして。

 

私が個人的に想像するに、戦争を知る世代が少なくなっている、高齢化していることも、要因の一つな気がします。

「覚えている人がいるうちに」という意味合いもありますが、「覚えている人が減っているから」できる番組でもあるのかな、と。

だって、私達戦争を知らない世代と、戦争を実体験した世代とは、当然「戦争」というもののとらえ方が違いますから。

「思い出すのが辛い」人がいると同時に、「戦争に負けたことが未だに納得できない」人も一定数いるのでは、と考えられるように思えるんですよ。

 

戦時中は何と言っても徹底的な言論統制されていた時代。

国は天皇ポツダム宣言受諾まで、絶対に負けているなんて発表していませんでしたから。

大人あたりは薄々「日本、負けているんじゃね?」と思っていても、じゃあ子供は?

そしてどっぷり軍国主義思想を教え込まれた多感な十代に終戦を迎え、戦争が青春だった人たちは?

素直に国の言うことを聞いて、前日まで「敵と戦うことこそ誉だ」と信じていたのに。

翌日に「戦争終わりました、日本負けました」って言われて、すんなり納得できるはずがないじゃないですか。

 

戦争ドラマは日本の中でも「空襲の中での家族の絆」というミクロな事象を描いていて、このことは日本の誰もが実感していた事実だから、受け入れやすかった。

でも、「そもそも太平洋戦争ってなんだったの?」というマクロ視点で戦争を語られ。

戦争が始まった結構最初の時点から、既に日本の戦況は怪しかったという真実を突きつけられたら。

「そんなはずあるか!」ブチ切れる人、いたでしょうね。

 

でもそんな戦争ドキュメンタリー番組で、「今だから話せる」と仰っている90代の方の証言を聞いていたら、「ああ、十年二十年前だと無理だったのか」って思えちゃって。

覚えている人が減ったからこそできる証言、というのもあるんですよね。

戦中は言論統制しやすいように、普通の人と非国民とに分けて徹底的に差別していたようですから。

非国民のレッテルを貼られた人は、言い方を変えればいじめっ子がいるうちは本当のことなんて話せませんよね。

 

それにですね、もう一つ考えてしまうのが。

戦争ドラマだと知らない人には「日本は被害者だ」って意識が育つんじゃないか? って思えてしまうこと。

大前提として、原爆なんてオーバーキルも甚だしい兵器を持ち出すなんて論外です。

しかしですよ。

そもそも戦争を仕掛けたのは日本ですからね。

この事実は大事です。

それが戦争ドラマのミクロ視点だと、「敵の猛攻撃の中を逃げ惑う日本人」というイメージだけが独り歩きする気がして。

だから戦争ドキュメンタリーで「どうして戦争をやっちゃったのか」を詳しく語るのは賛成です。

だって、私は絶対に戦争したくないもの。

 

こんな風に私が思ってしまうのは、私の家系が朝鮮からの引き上げ者がルーツなせいかもしれません。

お盆で親戚が集まるごとに、お酒の席で大陸から河を渡って逃げて来た話を繰り返し聞かされたものです。

当然、家族全員無事に逃げ帰れた、なんてハッピーエンドはあり得ません。

そして当時の私は、こんな体験談はどの家族にも当てはまるものだとばかり思っていたんですよね。

でもそうじゃない、ウチの一族の戦争体験は結構濃いんだと知ったのは、つい最近のことでした。

そうだったのね……。

 

私ももうこうしたことを語る親戚もいなくなっていますが、いつか家族ヒストリーとしてこの話をコッソリとネタにするのも、家族孝行かなという気がします。

 

皆さんも、この機会に家族の戦争に思いを馳せてみませんか?