日々是平穏

黒辺あゆみの Official Blog

最近見かける敬称

なろうとかでの作品で、最近「公子」っていう敬称を見るようになったなぁ、って思うんです。

これまでのファンタジーもので、貴族の子息キャラにつける敬称は「様」もしくは「卿」だったんだけれど。

そんなに歴史に詳しいわけではないけれど、日本だとやはり「卿」っていう敬称が馴染んでいたんだと思う。

平安モノでも見かけたし、「貴族といえば」な呼び方だった。

けど最近、ここへ「公子」っていうのが食い込んできている。

これ、たぶんピッコマで連載されている韓国作品の影響だろうなぁ。

 

ピッコマ漫画で、「へぇ、韓国だと貴族の敬称に使われがちなのって『公子』なんだぁ」って、お国柄の違いを発見した気分だった。

「公達(きんだち)」は聞いたことあるけれど、「公子」って案外耳覚えないものね。

あって、物語の「小公子」とか「小公女」くらいか。

公子って中国の諸侯の子息で使われていた敬称だし、歴史的にもつい最近まで中国語が食い込んでいた韓国だと、こっちの方が馴染むんだろうな。

けど、馴染むって言っても、単純な話ではなくて。

ずっと昔から、韓国は中国とドンパチやり合っていたけれど、使っていた言葉は中国語だったところを見るに、その力関係は明らか。

途中で「これはイカン、我が国も固有の言語を持たねば!」って思った韓国のお偉いさんが、ハングルなるものを作り出したけれど、「中国語の方が慣れている」ってんで、ほとんど誰も使わなかった。

そのハングルが日の目を見たのは、世界大戦後の復興期。

日本に占領されたという苦渋を味わい、自国愛が爆発した韓国人は「やっぱり固有の言語が欲しい、ハングルいいじゃんか!」っていう流れになったわけだ。

けれどほとんど使われなかったせいで、韓国語には単語数が圧倒的に足りなかった。

そこへ戦時中の日本語教育の影響で、韓国語の単語補充に役立ったのが日本語で、だから韓国語には日本語の響きが多いっていうのは、なんという歴史の皮肉だろうか。

けれど、同じくらい漢字由来の響きも多いのが、本当に韓国人の悲哀だよ。

 

ラテン語やゲルマン語系統の言語もそうだけれど、要するに戦争に勝った国の言語が流行っちゃうんだよね。

うん、「なんでてめえらの言葉を話さにゃならんのだ!」って怒りたくなる案件だよね。

それが何百年とか千年単位で時間が経てば「我々の言語文化」になるんだろうけれど、韓国はまだ飲み込むには時間が浅すぎるわけで。

韓国って、本当に長い歴史の中で戦争に翻弄された一族なんだなぁ、と言語から感じたのでした。

 

いや、個人的には「卿」よりも響きが好きだけれどね、「公子」っていうの。