私、毎月熊本にあるお寺に、父の月命日の墓参りに出かけているんですが。
ここのところいつも話題になるのが、熊本は阿蘇のあたりにある半導体の工場のこと。
熊本以外だと、「すげぇな熊本!?」ってなるじゃん?
けど一方で、少なくともウチのお寺での話題は、「湧き水が汚れる」っていうことなのよ。
工場が出来ることでの恩恵っていうのは、あちらからは話題にもしない。
もちろん、この意見が熊本県民の総意じゃあないだろう。
きっと「これで地域活性化が!」っていうヒトがほとんどだと思う。
実際、工場の土地を確保できているっていうことは、そのあたりで農業をしていた人たちが土地を売ったっていうことだろうし。
ただね、福岡に工場ができるのと、熊本に工場ができるのは、こんなに意見が違うんだなぁって感心しちゃったんですよ。
「湧き水が汚れる」問題の根本は、熊本では熊本市の中心部以外では、地下水で生活している人が多いっていうことにあるんだろう。
湧き水が豊富だったっていうと聞こえがいいけれど、水道整備とか、水源確保が貧弱っていう言い方もできる。
グーグルでダムを検索して、福岡と数を比べれば、その貧弱さがよくわかる。
湧き水で暮らしていた人が水道になれば、当然生活費に水道料金が加わる。
福岡に比べて賃金が安い熊本だから、そこも苦しいだろう。
つまり、阿蘇とかの大自然観光で色々稼いでいたっていう収入の偏りのツケが表面化した、とも言えるんだよなぁ。
福岡とか他の工業都市が、高度経済成長期に通過した工場と地元民との摩擦が、今熊本で勃発しているっていうことなんだよね。
悪い言い方をすれば、「地元に工場なんてなくていい、働きたい若者は余所の県の工場で出稼ぎしてもらえばいいじゃないか」っていうやり方が、とうとう崩れちゃったわけだ。
これ、ン十年前に日本各地の工業都市で起きたであろう「自然を守れ!」派と「雇用を作れ!」派との、仁義なき戦いが勃発するんじゃないの?
あんなに湧き水に拘る人たちが、ダム建設とかOKするとは思えない。
実際、どこかダムで揉めているし。
なんか、大変だなぁ……。