これまで周囲にいた高齢の人たちを観察していて、つくづく考えることがある。
それは「日常生活を自分で回している人は、ボケずにそこそこ元気でいる」っていうこと。
一人暮らしでも、日々の食事の準備を自力でしている人は元気だと思う。
逆に、それまで元気だった人が「子どもが帰ってきて同居することになった」という話を聞いた途端に、急に体が弱ってボケてくるんだ。
この変化のポイントが「生活の主導権」だと思うんだ。
特にそれまで一人暮らしだった人は、子どもとはいえ、今までいなかった人が家に居座ることになれば、屋内での移動も制限される。
これは私も正月でつくづく実感したんだけれど、本当に普段いない家族の気配ってウザいのよ。
それがそりの合わない家族だと、なおさらね。
だから、ウザい思いをしないために、極力自室から出なくなってしまう。
その上、家族からは「なんのために同居したと思っているの?」って言われて、これまでやっていた作業を取り上げられるのよ。
私が知っている例でいうと、とあるおばあちゃんが突然高齢独身息子(家事能力ゼロ)と同居することになり、遠くに住む他の子どもたちからは「これで安心ね」と言われていた。
その上「火事が危ない」と言われてガスを使わないように止められ(けれど代わりのIHをつけるわけではない)、息子が買ってくるコンビニなどの弁当が日々の食事になった。
その後ちょっとボケだしたおばあちゃんを、遠くの子どもたちが「同居息子がコンビニ弁当なんて食べさせるからだ!」と怒るんだ。
いやいやいや、と突っ込み満載ですよ。
家事能力ゼロ息子とガスを使わなくされたおばあちゃんで、なにを食べろと?
スーパーの総菜をバランスよく買ってこいと言いたいんだろうけれど、それができない人だから、家事能力ゼロ人間なのですよ。
かといって、自分たちが栄養バランスのとれた宅配弁当を手配するでもなし。
勝手なことを言っているなぁ、と傍から見ても思ったものですよ。
一方で、近所にいる足腰は弱っているものの、耳の聞こえもいいしそれなりに元気なおじいちゃんは、若い頃はお惣菜屋をしていたとかで、今でもご飯を自分で作る。
一人暮らしの家を、隣町に住む妹やら姪やらが頻繁に尋ねてきて、世話を焼いて帰る。
この両者を見ていると、高齢者には「自分で生活してもらう」ことが大事なんだろうな、と思うのよ。
特に食事は、一日三回考える必要がある家事だから、脳を活性化させるにはうってつけ。
別に台所に立って包丁を持てとか言っているわけではなく、食事を何食べるかとかの選択を自分でするっていうこと。
ストックしている冷凍宅配弁当を食べるもよし、スーパーにパック寿司を買いに行くもよし、外食するもよし。
「今日はなにをする」っていうのを自分で考えて、決めることが必要なんだろう。
この距離感が上手い家族もいるんだろうけれど、「若い人に従って生活する」ことになったら、一気に弱る。
そういうことなんだと思う。
っていうことは、高齢家族とは近所で見守れる範囲に暮らす、っていうのがベストなのかも。
一日一回夕食だけ一緒に食べる、とかやってさ。
自分も高齢者の仲間入りをするのが、そう遠すぎる未来ではない。
なので人生の先輩方を見て、勉強しようと思うのでした。